成茶より引用

今日なり茶したんです。
そのときちょっとやりたかったことをかきまっす☆

「…弁当忘れた……」
臨也は、自分のかばんを覗き込み、喪失感の混ざった声で呟いた。
「へぇ、臨也が忘れ物なんて珍しいねぇ。
 …よかったら僕のちょっと分けてあげようか?」
がっかりと項垂れる臨也に、近くにいた新羅が声をかける。
すると臨也は、急に瞳を輝かせながら新羅に返事をする。
「…いいの…!?」
「うん。困った時はお互い様だからね」
そう言って屋上に向かおうとする新羅の後を、臨也が走って追いかける。
屋上に来ると、いつも通り人が居ない場所に座り、新羅は弁当の包みを広げた。
「それにしても、何でお弁当忘れたんだい?
 いつもはあんなに優等生なのにw」
新羅は弁当に入っていたエビフライを食べながら、隣でどれから食べようか
悩んでいる臨也に問いかける。
「ん…実は昨日、波江さんのマグカップ割っちゃったんだよね…
 一応謝ったんだけどさ、あの人怒らせるとしつこいんだもん」
臨也は、弁当から全く顔を上げずに答えた。
そんな臨也を見ながら、新羅は大きな溜め息を吐く。
「もう…帰ったらもう一度謝っておくんだよ?」
「わかってるよ。あ、卵焼き貰うね」
「ん。」
そんなやり取りをしている彼らを、数メートル離れたところから
静雄と門田が眺めていた。
「…仲いいな、あいつら……」
門田が独り言のように呟くと、静雄は凄まじい殺気を
自らの周りに纏わせた。
新羅…あいつ後で殺す……!」
「静雄!?落ち着けって…な?」
隣で歯軋りをしている静雄を、門田が必死に宥めているのを
横目に見ながら、臨也は次のおかずをつまむ。
「てかさ、新羅って自分で弁当作ってるわけ?」
「いや?僕は味付けぐらいしかしてないよ。
 後は愛しのセルティが作ってくれてるからね!!」
新羅は臨也の問いに惚気も交えながら答えた。
そんな新羅に呆れながらも、臨也は少しガッカリして
溜め息混じりに呟く。
「なーんだ。折角新羅の手作りだと思って期待してたのに」
「え?そうなの?ははッ、ごめんw」
「…まぁいいや。じゃあもう一個卵焼き貰っていくね!」
「ん…って僕まだ食べてないんだけど!?」
「はははッwwシズちゃんからかいに行って来るから
 ケガしたときはよろしくね!!」
そういって臨也が駆け出したときには、もう既に静雄達は
昼食を終えたようで、辺りに姿は見えなかった。
「はぁ…まったく…無茶はしちゃだめだからね!」
「わかってる!」
そういった瞬間、臨也はフェンスを飛び越え校舎から消えていた。
「相変わらず二人は仲がいいんだから…」
屋上に一人残された新羅は、残りの弁当を全て食べ終え、
立ち上がり様にそう呟いた。


〜3時間後〜


既に帰宅していた新羅は、同居人のセルティと共に
新しく買ったゲームを楽しんでいた。
そんな中、家中に甲高いチャイムの音が鳴り響く。
「…臨也かな?」
ゲームのコントローラーを置き、新羅は玄関のほうへ歩き出す。
鍵を開け扉を開くと、
そこには左の脇腹を押さえながら、辛そうな様子の臨也が立っていた。
「臨也!?どうしたのそのケガ!?」
驚きを隠せない様子の新羅が叫ぶ。
「いやぁ…攻撃をまともに喰らっちゃってね……ッ!」
その言葉を最後に、臨也は玄関に倒れこむ。
「臨也!!」



〜続〜